身体を取り戻した俺たちは二人で話し合った。
今後の生活をどうするか・・・。
ピナコばっちゃんやウィンリィは、リセンブールへ帰ってくるように
勧めてくれたが、俺にはどうしてもやりたい事があった。

アイツに借りをつくったまま、自分だけが平和なぬるま湯に浸かる事は
いやだったんだ。錬金術の基本は『等価交換』
今、ここで銀時計を返還して背を向けてしまうのは等価にならない。
アイツは何も云わないだろうが、俺の中では納得出来ないんだ。

ー俺はセントラルに残って『軍』に入るー

散々迷ってそう告げた時、アルはただ優しく笑って頷いてくれた。

「兄さんはそう云うと思っていたよ」
・・・・と。


ーだけどー

「じゃあ、僕も一緒に残る。兄さんと『軍』に入る」

二の句が続かなかった。勿論反対もした。だが、アルは譲らなかった。
あの優しい弟が、ここまで我を通したのは初めてで、

「もう、兄さんと離れているのはいやだよ」
最後は泣き落としだった・・・・・。


そして、今俺たちは二人一緒に『軍人』になった。

ウィンリィを泣かせた、大嫌いだった蒼の軍服を纏った軍人になった。

大佐だったアイツは准将に昇進し、俺たち二人は望みどおり
その下に配属された。

自分で考えていたよりも『鋼の錬金術師』の銘は浸透していた
様で、俺には最初から准将付きの「中佐」の官位が付き、

正規に手続きを取ったアルとは職務は離れてしまったが
住居は一緒だ。


「僕も国家錬金術師になる!!」
といきまく弟にそれだけはやめろと宥めすかして、忙しい日常を
過ごしている。

忙しいが、以前のような脅迫観念じみた悲壮感はなく、何気ない
日常に、傍らの確かな温もりに時折堪らない気持ちになる。


これが、幸せ・・・ってものなんだろうな

たった一人の弟と笑い会える幸せ
大切なものを取り戻せた幸せ

未来を信じられる幸せ・・・・


触れ合った手と手の温もりが嬉しいとか、一緒に食事をして
笑って、怒って、喧嘩して・・・

人には他愛も無いそんな事が、俺たちにはまるで奇跡の様だ。


ーアル。俺は今幸せだよ・・・笑ってもいい・・・
怖いくらいだ・・・−






「むかつくぜ、あの無能〜!」
「兄さん、それ、あんまりマスタング准将に失礼だよ」
「だって、アル!朝聞いた時は定時OKだったんだぜ・・それがアルと買い物に出掛けるっつったとたん残業だと〜っっ
わざとだ!絶対わざとだ〜!!」
「僕も手伝うから、兄さん」
「ぐるるるる」
「僕は兄さんといられれば、何処でだっていいんだから・・・」
「アル〜、お前っていいやつだよなぁ。。」

ーばかだね 准将。兄さんにこんな事したって逆効果だって何でわからないかな?
それとも、分かってても止まらないのかな。事兄さんに対しては・・。
分かる様な気はするけど・・・・

だけど、絶対に渡さないよ。兄さんは僕のだ
R:『兄さん、ちょっと待って。釦外れてるよ!!』
E:『あ?ああ、サンキュ アル』
R:『もう、ほっぺにはさっき食べたケーキのクリームが・・・』
E:『え?どこどこ??』
R:『こ〜こ!
        ーちゅっー
E:『〜〜〜〜〜アル〜〜★』
R:『はい、綺麗になった。行ってらっしゃい 兄さん。
 准将に迷惑かけない様にね。
帰りはまたここで待ってるから。寄り道しないで戻って来るんだよ』

  まったく、これじゃどっちが兄貴だか、わかりゃぁしない・・・。


軍での生活絵日記
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〜将軍(ロイ)の青い狗〜
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